8月27日、「ちびまる子ちゃん」の作者、さくらももこさんが8月15日に亡くなっていたというニュースは瞬く間に広がった。乳がんに罹患されていたことも公表されていなかったし、すでに葬儀なども済まされていたことも含め、私たちは驚かされた。
どのように治療されていたのかなどの経緯はわからない。しかし、この一両日、SNSでは、乳がんについての話題を多く見るようになった。その多くは、乳がんの検診に行こう、と呼びかけるものだった。今日はそれに乗っかってみようと思う。
前兆はあったのに、切られ続けた妹のアラーム。
2015年3月にステージ4の乳がんと診断され、8か月後の11月、急逝した妹のケースを書こうと思う。
妹は、フリーランスのTVディレクターという職業柄、多忙を理由に健康診断や婦人科検診もやったことがなかった。しかし私と違い、見かけによらず体が丈夫で、大病をしたこともなく、健康には自信があった。
前兆かと思えることは前年2014年の秋ごろにすでにあった。これまでにないような肩こりや倦怠感があったのだと言っていた。そして2015年の1月には、左腋の下に痛みを感じるようになる。
どんな痛みかというと、ズキズキ、チクチクするような痛みが、時折、腋の下に走るのだそうだ。思わずイタタタターーーと声をあげてしまうような強い痛み。
3月になると、左胸にしこりを見つけた。そこでようやく重い腰を上げ、クリニックで胸部エコーを受ける。医師から、ああこれはもうステージ3はいってそうだなあ、とその時すでに言われたそうだ。
アラームは切らないで、体の声を聴いてほしい。
ひつこい肩こりや倦怠感。腋の下の痛み。しこりを確認するまでの約半年間、これだけのアラームが鳴っていたのに、妹はアラームを切っていた。当時、小学1年生の子供の学校の行事や、習い事などを理由に、休ませてもらうことが度々あったから、自分のことで、休ませてと言い出しにくかったのだそうだ。
体からアラームが鳴ったら、切ってはいけない。切ってはいけないのだが、体の悲鳴に耳を傾けるのは、実はけっこう、難しい。
日々押し寄せる仕事、子供の学校行事の準備、習い事の送り迎え…。すでに一日のタスクは満載で、そこに自分の時間を滑り込ませる心の余裕はない。アラームが鳴っていても、体の声を聴こうとはしなかった。仕事と子供のことが優先で、自分のことはすべて、後廻しになってしまった。
そのことを、亡くなる約1か月前ほどに、妹は後悔していた。結局自分のことは後廻しにするほど愛していた仕事も子供も、そして私も置いて、旅立ってしまった。
なにかおかしいと感じる事象が体に起こったなら、自分のために時間を作って、病院へ行ってほしい。体からアラームが鳴ったらどうぞ切らないで、無視しないで聴いてあげてほしいのです。
◆<学校での講演>全国どちらにでも無料でうかがいます◆
がんについて、患者の立場からまた、遺族の立場からお話しできることがあります。
治療のこと、死を受け入れること/見送ること、働くこと、カミングアウトすること、アピアランスケア、治療費のこと、保険のこと、患者と周囲のコミュニケーションについてなど、2度の乳がん/乳がんで妹を見送った経験からお話しできることがあります。呼んでいただければ全国どこへでも伺います。内容や時間もご希望に合わせます。
交通費はご負担いただけると有難いですが、東京から日帰りできる範囲であれば、交通費がなくても結構です。学校以外での講演、お茶会は、会の趣旨などをお教えください。前向きに検討させていただきます。
ご連絡先 mumthewordsアットマークgmail.com