左の上腕が痛いのである。
ひじより上、肩より下の部分である。シャツを着るために左袖に腕を通そうとしたところ、ビーーンと痛みが走った。それが2週間前である。生きていればそんなこともあると思い、特に何もしなかった。その日の夜、また着替えをするために左腕を後ろに伸ばすと、また痛む。あれー?なんだろうこの痛みは。
着替えの際、動かすと痛みがあるということはわかり、注意をしていたが、そのうち、四六時中痛むようになる。我慢できない痛みではなく、緩やかな鈍痛というか。2週間経ち、我慢できない痛みではないし、おそらくこれが噂の五十肩というものなんだろうけど、一応、病院へ行った。
骨転移だったら…?
五十肩だろうとは思ったのだが、と同時に、まさかの骨転移?とも考えてしまったのである。乳がんは骨転移を起こしやすいがんであり、その部位も手足であれば末端ではなく、大腿骨(太もも部分)や上腕骨(ひじより上の部分)や、腰椎、胸椎、頸椎、骨盤、肋骨、頭蓋骨などに転移するといわれている。今回痛みがあるのは左の上腕部分。まさに骨転移を起こしやすい部位なのだ。
ここに詳しい。
生きていれば腕や足が痛いことだってあるし、大げさに騒ぐ気もサラサラないのだが、最後に検査したときは影も形もなかったのに、その1年後には見事に2.5cmものしこりが出現していた経験から、私のがんのタイプというか特徴には「足が速い」というのがあるのでは?だから少々のことでも気にかかるのである。
とにかく、近所の形成外科に行ってみた。腕が痛いです。たぶん五十肩の症状だと思うのですが、サバイバーなので骨転移してたら嫌だなと思って、と医師に告げる。レントゲンの結果は白。特に異常は認めない。シップ持っていく?それでも痛むときは注射かなあと先生。シップするほど痛いわけではないので、この日は診察だけにして帰った。
大げさだと思うけど。
きっとサバイバーの人たちは、日常のささいな体の変化に敏感になっているのだろうな。大げさだと私自身、思う。でもモヤモヤしながら生活を送るのもうっとうしいし、なにより当たってほしくないけれど、でもビンゴ、ということだってあるのだ。
私は2度とも、自分でしこりを見つけた。乳腺症かもしれないねと思いつつ病院へ行ったら乳がんだったのだ。だからまさか、は起こるということを私は知っている。
気になる症状があるのに、忙しいからと病院へ行かなかった妹のことを考える。自分のために病院へ行く時間を作ることができなかった妹のことは、いまとなっては運としかいいようがないが、生活に追われていても、病院へ行く時間も作れないような余裕のない生活を送っちゃいけないな、と改めて思う。私は幸運である。
で、わたくしは五十肩らしい! ある日突然痛みや、腕が上がらないなどの症状が出る。そしてある時急激に悪化するが、その後症状が自然とフェイドアウトするのが特徴だそうな。順当に大人の階段を登っている。
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