ジコカイジ

self-disclosure‐‐‐乳がんのこと、仕事のこと、生き方のことを書いていくchisa/千祥のブログ。

近藤誠とがんリテラシー/死の恐怖を見つめる勇気がないままだと、がん患者はいつまでもカモネギ。

 定期的に著作の発表をするもんだから、最近また近藤誠界隈が騒がしい。2001~2004年くらいまで(くらい、というのは途中で経過観察をバックれてしまったため)私の主治医は近藤誠であった。その頃もいまも、彼へのバッシングは激しかった。しかしそれをものともせずに、乳房温存療法を求めて慶應の水曜日の近藤外来に勇ましく向かって行った私である。

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10年後絶対生きていないから!と暴言を投げつけられてまでも、近藤外来でセカンドオピニオンを受けに行き、A医師の温存手術に満足し、かつ抗がん剤、放射線の標準治療フルコースを受けて、10年を大きく超えて生存している私は思う。

 

近藤誠の主張は間違っている。それは確かだ。しかし、それをいくら科学的なリテラシーを持ちましょう、と啓蒙したところで、近藤信者はなくならないだろう。近藤信者は熱心に近藤本を読み、自分でも勉強し、理論武装している人が多い。バカではないのだ。かなり高学歴で、データなどを読むことにたけている人もいそうだ。それでも近藤誠を信じるのだ。信じてやまないのだ。

 

オウム真理教の幹部信者たちが、軒並み日本の最高学府、東大、京大、筑波大、慶應、早稲田の大学院などで、高度な専門教育を受けた若者たちだったことを思いだす。それと同じことが、近藤界隈で起こっているのではないか。

 

どんなに事実を述べても、近藤信者は近藤誠を疑わない。本当に近藤誠の主張を信じているのかどうかは、彼らが命を脅かされるころになって明らかになる。近藤誠に騙されたという人は、がんが怖かった、治療に困難がまつわることが怖かった、そして、もっと言えば、死ぬのが怖いのである。その自分の本心をまっすぐに見つめて、それでも近藤誠を信じるなら、たとえ死ぬことになっても、騙されたなんて言わないはずだ。

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Kさんは、温存療法を求めて大阪から逃げてきた。温存手術を受けて満足し、放射線とホルモン療法を受けた。しかし誰が説得しても抗がん剤は絶対にしないと言い張った。数年後亡くなったが、文句のひとつも言わなかった。抗がん剤をしなかったのは、髪が抜けるのがいやだったからだ。だから近藤誠のところに来たのだ。

 

近藤誠を信じたい人は信じればいい。そして、それでQOLが良ければ、それでいいと思う。しかし、ああ間違っていた、騙された、と思うならそれは、自分の中の、死の恐怖を見つめる勇気がなかったということではないか。だって、彼の主張の脆弱さや、ご都合主義な点を、これだけおかしい!と異を唱えている人たちがたくさんいるのに、正しい情報でなく、あえて近藤ドクトリンを選んでしまうバイアスを解けないままに過ごしてしまったのだから。

 

だからこそ、普段から、がんのこと、死のことを考える必要がある。サバイバーや遺族の話を聞く。想像力を広げる、繋がる、必要があると思うのだ。私が「キャンサー・サバイバー・ネクスト・ドア」という会を細々と開いているのは、がんじゃない人に、がんを知ってもらいたいから。死と隣り合わせにいても生活する心細さも希望もないまぜになったサバイバーとつながってもらいたいからだ。そして、少しでも考えてもらえたら。

 

11月30日(土)18時から、キャンサー・サバイバー・ネクスト・ドアに来ませんか。

サバイバーとノンサバイバーが一緒になってワインや食事を楽しむ会です。興味のある方はDMをください。

 

 

 

 

 

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