ジコカイジ

self-disclosure‐‐‐乳がんのこと、仕事のこと、生き方のことを書いていくchisa/千祥のブログ。

売名行為

朝日新聞アピタルの記事「「売名だね」ネットに悪口 白血病公表した彼女のいま」を読んだ。

https://www.asahi.com/articles/ASMDF5X2RMDFUFEV002.html?ref=hiru_mail_topix1

 

 白血病であったことを公表したら「売名だね」「同情をひくつもりなの」とネットで書かれたという経緯があるけれども、講演活動などを続けているそうである。タレントさんだから有名税と思うしかないのかもしれないけれど、こういう悪意をネットの匿名性をいいことにぶつけてくる輩はどうかと思う。

 

ここまでどぎつく言われたことはないが、ちまちまブログ書いてる私くらいのもんにも、なぜ公表しなければいけないのかと、やんわり問われることはある。がんサバイバーへの偏見や誤解、孤独な思いを伝えたい。その一心で書いたり、話したりしている。なので、非常にネガティブな内容を含む発信が多い。抗がん剤で髪が抜けて丸坊主になった様子を写真で時系列で見せたり、治療中の体調の悪さ、仕事がなくて未来が描けない苦しさ、社会とのつながりの断絶など、暗くて辛い思いダダ洩れである。

 

ある人に、どうしてこういう辛い状態を世界に向けて発信するのだ?とやんわりと問われた。個人的に、親しい人に話すのはよい。話を聞こう。でも、社会に対して発信するのは美しくないのではないか?露悪的、売名的ではないか、と。

 

そう見えるのかもしれない。そして多少自分の中に、露悪的な面があることも否めない。それは認めよう。公表したことでホッとした自分がいたのだ。公表して気が付いたのは、将来が描きづらい苦悩や、再発するかもしれない恐怖を隠していることが、こんなに自分の心に制限をかけていたのか!ということだった。私はがんサバイバーである私を恥じていたことに気が付いたのだ。がんになってしまったポンコツの私を、恥じていた。露悪的に見えてしまう点は、カミングアウトハイ、というか、自分を認めることができた私!という、自由度の高さに酔っているからかもしれない、といまは思う。

 

でも私は「困難に直面しても、いつも明るく前向きな姿勢の素敵ながんサバイバー」という像に、みずからを当てはめにいかないことは留意している。だって、マジでツライこといっぱいあるんだ。私はそこをマスキングして、明るいがんサバイバーを演じたくない。困ったり悩んだりすることがあっても、なんとか折り合いをつけて生きていることを伝えたい。

 

妹の死が、伝えたいという思いを強くするひとつではある。乳がんなんて早期発見すれば助かる、今時乳がんで死ぬのね、と言われたときの、私の心のもやもやしたあの感情の正体を伝えたいと、思ってしまう。世の中にまん延するがんに対する誤解と偏見を少しでもなくしたい。サバイバーとノンサバイバーのバリアフリー化されていないから、私たちサバイバーは傷つく。だからこそ伝えたい。

 

売名行為上等です。明るくないほうの、社会に受け入れがたいほうのがんサバイバーはこちらになります。

 

 

 

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