日本には少女と老女しかいない、と発言したのはソニアリキエルだった。少女は大人の女性を経ず、老女と化す。この言葉を知ったのはもうかなり前、私が30代の頃だったか。いやほんと、日本の女性って成熟していないよな。ソニアリキエル女史すごいな慧眼だな。自分のことはそこには勘案されず、いっぱしの大人気分でいたことは間違いない。それから幾年月、私は大人の女性を経て、これから老女となれるのか。いや大人の女性になったのかどうか。考え込む。
好きなだけ起きていて、起きたいときに起きる。コーヒーを炒れて午前中グズグズと過ごし、やっとエンジンがかかったら仕事して、疲れたら昼寝。少量のワインを飲みながら晩御飯を食べ、小さなスイーツを食べて玄米茶飲んで、また仕事。少しだけ寝て、お風呂入って、就寝。
好きなときに好きなところへ行き、食べたいものを食べて、疲れたら昼寝。シリアスなこと考えるのはあと数年で死ぬかもなーとか、死ぬ前にこれしておきたいなーとか、それくらい。それだって自分ごと。自分、自分、自分、自分、どこまで行っても自分しかない人生。
子供の世話もペットも世話も介護も、果たすべき義務は何もない。ただ自分の体を、生活を維持するためだけの生活だ。高校生くらいのときから、自分の生活のパターンが変わっていない。変わったのは仕事をしていることくらい。自堕落な生活。
もうあと何年かすれば、老女と言われてもおかしくない年齢になる。にもかかわらず私は、少女のころと少しも変わらないライフスタイルを維持し、勝手気ままに生きていることにぞっとすることがある。この世の多くの人が義務を果たし、その上で自分の人生を生きている。私は私を追いかけて、いつまでも少女気分でいるのだ。
しかしもうやり直すことはできない。ソニアリキエル女史が批判したように、私は大人の成熟した女性を経ず、少女から老女になるのだと思う。残念だが。