抗がん剤の副作用で一番の悩みは、脱毛。
抗がん剤の副作用と言えば、脱毛が真っ先に挙げられるのではないか。しかし、これは女性に限ってのことらしい。
2009年に国立がん研究センター中央病院が実施した「抗がん剤治療による副作用の苦痛度」というリサーチがあるのだが、副作用の苦痛度は男女でこんなに違うのかと知り、心底驚いたのだ。
女性の1位は頭髪の脱毛、2位吐き気、3位しびれ、4位全身の痛み、5位便秘、6位まつ毛の脱毛、7位だるさ、8位まゆ毛の脱毛、9位足の爪がはがれた、10位味覚障害となっている。
男性はどうか。1位全身の痛み、2位吐き気、3位発熱、4位口内炎、5位しびれ、6位便秘、7位下痢、8位頭痛、9位だるさ、10位足のむくみ、と続く。
驚きませんか? 男性の場合、10位内に頭髪の脱毛が入っていないということに。では男性で頭髪の脱毛が出てくるのは、何位なのかというと、なんと、18位なのである。
男は脱毛を気にしない。だからか???
今回、私の抗がん剤治療は2度目になる。前回も今回も、頭髪の脱毛が与えた影響は大きかった。今回は完全に脱毛してしまったため、抗がん剤が終わった現在もウイッグは必需品である。
17年前に脱毛したとき、医療用ウイッグは最低でも10万円以上する高額なものしかなく、厳しい経済状態にあった私は、ウイッグを購入することはできなかった。保険適用もしくはせめて医療費控除を受けることができれば購入できるのに、と残念に思っていた。
そして昨年、また抗がん剤治療を始めたとき一番驚いたのは、医療用ウイッグのバラエティが豊富になったこと、そして手ごろな価格のものが圧倒的に増え、クオリティも格段に向上していたことだった。だが、保険も適用されず、医療控除の対象にもなっていないことだけは、17年前と同じだった。
保険も適用されず、医療控除の対象にもならないということ。それはやはり、頭髪の脱毛を気にする男性が少数であることと関係するのだと思う。厚生労働省も、国会議員も、製薬会社も、医師も、男社会であって、自分たちが抗がん剤治療したときの苦痛の上位に頭髪の脱毛はないのだから、それに対してのソリューションを考えようとはならないのか?と、うがってみたくなる。
抗がん剤終われば生えてくるんだからいいじゃない
通常、抗がん剤が終わってから1年~1年半くらいはウイッグが必要となるし、抗がん剤治療が長くなる人の場合は、ウイッグを使用する期間も長くなる。
私の場合、現在2つのウイッグを持っていて、それを代わる代わる使用している。頭はかなり汗をかくし、食べ物ののにおいなども付きやすい。自毛と違って毎日洗うわけにもいかないため、手入れを工夫しながら使っている。いまはモンチッチくらいの長さしかないので、普通にスタイリングできるようになるまで、あと1年以上はかかるだろう。ウイッグ生活はまだ続く。
これだけがんに罹患する人が増えているのだから、ウイッグについて、また脱毛を予防する機械や薬剤の開発などにも、もっと注力してもらえないだろうか。そのためには、私を含め、患者やサバイバーももっと声をあげなくてはと思っている。
そして、また生えてくるんだから、とかけられる言葉について言いたい。それについて悩んでいるのではないのです、と。生えてくることは知っているのだ。私たちがくよくよするのは、生えてくるまで、普通にスタイリングして外出できるまで、その間をどうやり過ごすのか、それが問題なのだと。
で、脱毛に関すること、ウイッグや美容について書いてみたいと思っている。つづく。
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