ジコカイジ

self-disclosure‐‐‐乳がんのこと、仕事のこと、生き方のことを書いていくchisa/千祥のブログ。

ポルターガイストと暮らした日々

夏だから怖い話をするね。私は中学入学後すぐ、母方の祖父母と暮らすことになり、東京23区の端っこに、祖父母が用意していた家に移り住んだ。祖父母は大喜び……ではなかった。あまりいいスタートではなかった。

 

その後1年もたたないうちに祖父は老衰で亡くなり、いろいろあったけど、やっと平穏な生活ができるかと思いきや、二階の私の部屋に面した窓ガラスが毎晩朝まで、まるで誰か人が開けてくれと懇願するように、叩く音が続くようになった。

 

しかし、その窓ガラスは隣家とギリギリに接しており、人間がよじ登って窓ガラスを叩くようなスペースはなかった。よしんばそれができたのは、ジェットリーとか、ブルースリーとか、ジャッキー・チェンとか、そういう類の特殊な身体能力を持ったものでなければ、不可能に思われるようなスペースしかなかった。

 

毎晩、朝方までドンドンドンドンと誰かが窓ガラスを叩く。思い切って窓を開けるともちろん誰もいない。それを何度も何度も繰り返すが、終わる気配がない。ようやく空が白みかけたころ、音は止むのだった。高校生にもなると試験勉強で朝方まで起きている時も増え、眠気覚ましにちょうど良くなった。

 

私たち家族は、私の大学入学を機にその因縁の家から、駅近の新築マンションに引っ越した。私の部屋はベランダに面し、西側に小窓がついた明るい部屋だった。これであの音からやっと解放されたのだ。今晩からはぐっすり眠れる!と、目を閉じた。

 

ドンドンドンと小窓を叩く音がする。ウソでしょう? ウソではなかった。小窓はマンションとなりのビデオ屋に面しており、人が登ることはできたかもしれないが、駅前の、幹線道路に面した目立つ場所だ。私は思い切ってカーテンを開け、窓を開けてみた。誰もいない。引っ越したその晩から、また例の(霊の?)音が始まった。これはあの家にいたものを、私が連れて来たのか?もう諦めの境地。友人に話したら、それ、ポルターガイストっていうやつじゃないの?と指摘された。

 

ポルターガイストだけではなく、このマンションではさらに怪現象が起こるようになった。その冬、夜遅くにバイトから帰り、部屋に入ると、カーペットがほんのり温かいことに気づいた。私がいない間に、妹が勝手に部屋に入ってテレビでも見てたのか!と、妹の部屋に怒鳴り込みに行くと、妹は爆睡中。ついさっきまで部屋にいたならまだしも、とてもそんな風ではない。部屋に戻ると、カーペットはまだほんのり温かい。そしてそれが一ヶ所だけでなく、飛び飛びに数ヶ所、温かいのだ。そして始まる毎晩の窓ガラスを叩く音のポルターガイスト。さすがにゾッとして眠るどころではない。カーペットの温もりも、その日から毎晩起こるようになった。

 

神官が知り合いにいる、という友人を介し相談したところ、お祓いしかないということになり、出張してもらうことになった。その方いわく、地縛霊というものではなく、私の父方に連なる人の霊や、生き霊もいたらしい。

 

それが本当かはわからないが、お祓いののちは、ポルターガイストや、カーペットの温もりは、回数は減った。しかしなくなることはなかった。

 

私がポルターガイストから解放されたのは、このマンションを出て、独立したときだった。それから自宅では悩まされることはない。ポルターガイストと暮らしたのは、ゆうに14年に及んだ。

 

いまでもたまに、古い旅館に泊まったりすると、遭遇することがある。最近はないが、10年ほど前に泊まった箱根の旅館でも遭遇。音でおもてなししてくれたため、一睡もできなかった。私は霊やおばけは見たことはなく、どうやら音に反応するタイプようだ。

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