入院前、お願いしていたのは1泊8000円で、テレビ、ロッカー、応接セットのみのシンプル個室。入院後、部屋に通され、まあこんなもんかなあと思ったものの、案内してくれた看護師さんに、何の気なしに他の個室ってどんなのあるんですか?と質問したところ、今日は他の個室も空いてるので見るだけ見ても?と提案され、見たらもう戻れないのが人間のサガ。
ということで、納まったのがこの個室。1泊差額10000円。テレビ、ロッカーはもとより、ユニットバス、ミニキッチン、広々テラスまでついて2000円の差なら、こっちだ!ということで、早速引っ越したのだった。
そして、個室に入ると、通常の入院食にプッチンプリンやメロンゼリーなどのデザートがプラスされるということが、後でわかった。謎のサービスである。
ベッド側からドア方向を見た写真。右側にユニットバス、左側にミニキッチン。
ビジネスホテル風である。
私の部屋の隣が特別室。でもこの特別室、値ごろ感半端ない。差額15000円。
今度入院するときは、こっちに入りたい。
付き添いの家族が宿泊する余裕もある。
広々した浴室。坪庭付き。眺めながら入浴しちゃう。
差額ベッド代、やはり都内とは異なる値ごろ感がある。
ただ老朽化は否めない。この数年の間に、周辺に乳腺センターを備えている病院も増え、以前の、患者でごった返した戦場のような混み方でもないし、ご覧の通り差額ベッドの個室の空きも結構あった。付帯施設に関しても、コンビニはプアな感じだし、いま都心の大きな病院だとスタバやタリーズがテナントに入っていたりするけれど、ここにはそんな都会的なものはもちろんない。とはいえA先生の手術センスはやはり素晴らしいので、私は手術するならここなのである。
都内から1時間半。鎌倉も近く、街の雰囲気がのんびりしているのも気に入っている。毎週抗がん剤治療に通えたのは、そういう街の雰囲気に助けられたのもあると思う。
17年前、ここに入院したときは、乳がんの事は誰にも知られたくなかったから、もちろん誰も見舞いには来なかった。でも今回は違う。夕方には毎日、見舞客があり、適度に気もまぎれた。
入院とは、現実と大きく切り離された場所であり、ちょっと娑婆っ気が薄まるというか、ほんの少し心にスペースができるというのか。この時間は私にとっては必要だったと思う。ひとり旅みたいなものかな。