頑張って!のその先へ。
「がんサバイバーの声を聴こう!」終了。
ジャパンキャンサーフォーラム2018 がんサバイバーの声を聴こう!に登壇した。今回の演題は「頑張って!のその先へ。がん患者と共感するために」だ。スピーチの様子は撮影されており、のちに動画がアップされるので、その際は見ていただきたい。
頑張って!は普通にがん患者にかけられる言葉だと思う。がんのステージによっては、あきらめないで!奇跡を起こそう!とか、私のおばさん、胃がんだったけどいまは元気だよ!だからあなたも大丈夫!というような身近な例を挙げて励ますというパターンもよくある。
がん患者が違和感を覚える、励ましあるある
乳がんの私に胃がんのおばさんの話されても???って思うし、奇跡を起こそう!ってJ-POP?みたいな励ましされても……と、温かい気持ちは伝わるけれど、戸惑う。妹が亡くなる前に、このあたりの声掛けについて、違和感を覚えていたと言っていた。励ましではなくて、共感してほしかった、と言っていたのが印象的だった。
私が昨年2度目に乳がんになったとき、この妹が覚えた違和感を追体験したことが今回、演題に選んだ理由だ。温かい励ましや協力のおかげで、仕事をしながら治療することもできたけれど、それでもなぜ?と思う励まし、声掛けもあった。
仕事をしながら治療できたとはいえ、仕事量がめっきり減って悩んでいたとき、がんになったんだから、仕事仕事言ってないで生き方変えたら?と言われたときは、心底驚いた。がんになっても生活あるし。生きて行かなきゃいけないし。生活立て直したいというのは、働き盛りのがん患者ならだれでも思うことだし。
あなたはネガティブ過ぎる!というのもよく言われたな。あとこれは、その人を責めるつもりは全くないけれど、私に病気の話をさせまいと話題を一生けん命に変えようとされたのは堪えた。でも気持ちもわかる。いくら近しい人でも受け止められないことだってある。
あるとき、友人のひとりから、私が病気になったことに驚いて、言葉をなくした。とっさに気の利いた言葉が浮かばず、とりあえず頑張って!と言ってしまった、と告白されて、気が付いた。ああ励ましの言葉の理由ってこれだなと。とっさになにか気の利いたこと言おうとするけど、そういう経験がないから言葉のストックもない。だからとりあえず言ってしまうのだ。頑張ってと。
2人に1人ががんになるのに。
2人に1人ががんになる時代なのだから、がん患者と周囲の気持ちの摺り寄せができればいいですよね、っていうのが今回いちばん言いたかったこと。お互いに歩み寄って、お互いを知ること。言葉はいらない。寄り添っていけるかいけないか。それだけだと思う。
ちょっと言いにくいことだし、失礼だ!と怒られたらどうしようと思っていたが、おおむね、よく言ってくれた!という反応だったのが意外だった。でもよかった。
今回、演者となったのは、キャンサーネットジャパンが定期的に開催している、オーバーキャンサートゥギャザー主催の、第5回がんサバイバー・スピーキング・セミナーに参加したことがきっかけである。
がんサバイバー・スピーキング・セミナーとは、
キャンサー・サバイバー(=がん患者、経験者とその家族、遺族、ケアをする人、友人、など、‘広くがんに関係のある方’)が自身の声を発信し、人の心・社会を動かす活動を行う際に必要な技術・知識を、講義だけでなく実践を通して学びます。
というもの。
自己の体験を発信する事例や、実際に自分の体験を発信するまでを学ぶ1日セミナーだった。さまざまながん種、がんサバイバー、遺族、友人も含んでいるところがよい。
そして、8月11日、12日に開催のジャパンキャンサーフォーラム内「がんサバイバーの声を聴こう!」に応募して、演者として選ばれたわけなのだ。今回は私と同じ5期で学んだ方も多かった。
特にがんと就労というテーマで話してくれた方々。みなさん復職や再就職を果たされているけれど、さまざまな問題をはらみながら、たくましく乗り越えていく様子がわかった。家族を養いたいし、仕事での成果もあげたいし、仕事は生きがい、仕事を通じて自己実現したいのは、がん患者だって同じだ。
がんになったから生き方変えたら?なんてきれいごとだ。
働きたい。社会の一員として自立したいのはみんな同じなんだから。
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