人生会議が大荒れである。このポスターのせいである。
エグイ絵ヅラである。心電図の線形が描かれ、それがあたかも止まる様子だ。小藪の表情が怖い。芸人の彼が真剣な顔をすればするほど、笑いに転化することをねらっていたのであろうが、ブルーのフィルターのかかった写真からは、不穏な雰囲気が漂っている。笑えないどころか、その意図がなんなのかつかめない。「想いは正しく伝わらない」って、ギャグですか。
厚生労働省から出されたお題を、一生懸命吉本や代理店が考えてこうなったのだろう。人生会議という言葉、コンセプトやを広めたくて制作されたものなのだけど、そもそも人生会議がおぎゃーと生まれた経緯が不穏だから、こういうものが出来上がっちゃうのではないですか?
この絵ヅラから見て取れるのは、やはり終末期医療だ。終末期医療費を抑制したい!という厚生労働省の叫びが聞こえたのは空耳か?もちろんそればかりではないだろうが、この短絡的な絵ヅラ設定から、最期は手短にね、と言われているような気がしてならない。
突然、あなた死ぬときどうしたいですか?って話し合うこと、決めておくことが人生会議なのか? そうじゃないだろう?そこから始めるのではなく、自分にとって死とは、生きるとは何かを考えて、自分の生の在り方を確立させていく過程のことを指すのではないのか?そこからしか始まらないのではないのか?そこが明確になっていけば、インチキ医療に騙されることもなくなるのではないか?
重要なのは、終末期にどうしたいかをガッツリ決めておくことではない。終末期に至って、心は変わることもある。死への道程に向かうとき、それはまっすぐではない。心は激しく右へ左へと揺れ動く。何が何でも生きたいと願い、もう殺してくれと懇願することだってある。だからこそ、家族や周囲とどうするのがいいのかをざっくばらんに話し合っておきたい。どんな局面を迎えても、耐えられる関係性が必要なのだ。
人生会議。進め方が乱暴に過ぎる気がする。終末期医療費を抑制したい!という、厚生労働省の本音が思わず吐露されてしまったから、みな、気分を害している。厚生労働省がすぐ発送中止にしたのは、あ!ばれちゃった???ってことなのでは。
うがちすぎだろうか。