ジコカイジ

self-disclosure‐‐‐乳がんのこと、仕事のこと、生き方のことを書いていくchisa/千祥のブログ。

加藤諦三に言い当てられる愉悦/テレフォン人生相談

テレフォン人生相談の中毒性を誘発する光源

相談歴約40年の加藤諦三

 

最近、テレフォン人生相談にハマっている、という声が周囲から聞こえてくるようになった。広めている成果があがっているようである。シメシメ。

 

youtubeにあまたアップされていることからもわかるように、明らかにテレフォン人生相談には中毒性がある。テレフォン人生相談の正確な開始日というのはわからないらしいが*1、約40年間もの間、続いてきただけありすでにひとつの様式を作っていると言っていいほど、構成が練り上げられていることがこの番組の魅力である。大迫恵美子、中川潤、大原敬子、三石由起子など、敏腕アドバイザーの存在が、番組を盛り立てていることは確かだが、この様式を作ったと言えるだろう加藤諦三の存在を忘れることはできない。加藤諦三こそ、テレフォン人生相談の中毒性を誘発する光源なのである。

 

加藤諦三のクロージングはもはや伝統芸といえるだろう。

 

相談者はまず、パーソナリティーである加藤諦三に相談内容を聴きとられ、大迫恵美子などのアドバイザーに引き渡される。ここでグゥの根も出ないほど相談者の隠された本心を引き出され諭される、のが番組のメインイベントである。

 

残り時間約5分ほどになると、パーソナリティーに戻される。そこでは、アドバイザーからの諭旨を元に、それぞれのパーソナリティーらしいクロージングが行われる。今井通子なら、アドバイザーにコテンパンにやられた相談者により現実に即したアドバイスを与え、ドリアン助川なら傷ついた心をふんわりと包むような言葉で抱きしめてくれる。では加藤諦三はどうか。

 

マドモアゼル・愛先生がいいお話し聞かせてくれたねぇ……とか、今日の大原先生のお話しはまったくその通り……など、アドバイザーの仕事を称えたあと、加藤諦三は心理学的アプローチで相談者を射るのである。

 

敵対的依存心、外化…

加藤諦三に言い当てられるという、カタルシス

 

二十年以上前に妻に不倫されたことを根に持ち復讐したいという夫に対して、それは敵対的依存心のあらわれ(敵意のもとには依存心があるという考え)であり、自分の心を精査してそれを認めよと迫る。

 

妻の不倫に感づいているがどうしたらいいのかわからない夫には、現実を通して自分の心の中の願いを見ているから(これを外化という)、外化の結果、虚無感と依存心が増大するため、覚悟を決めて現実と向き合えば、一気に解決する、と諭す。

 

相談者の多くは、自分の悩み、相談内容の本質を理解していない。加藤諦三は相談者の内面を解きほぐし、言語化し、その心理状態を敵対的依存心や外化や、ナルシシズムと名付け、相談者はそれに驚き、受け入れる。心がねじれた理由を言い当てられ、名付けられるという一連の作業が、相談者にそしてリスナーにカタルシスをもたらすのである。

 

リスナーに与えられる意外なる普遍性

 

世の中にはたくさんの人がいて、あらゆる悩みがあることを、あらためてテレフォン人生相談で知る。そんなことってあり? マジか?というような数奇な人生に苦しんでいる相談者の話は、一見、私の生活から遠く思える。

 

しかし、そんなことあり得ない! と思うような相談の中に、私の内面に投げかけてくる問いがあり、それを私の心に再度問うと、意外な作用をすることが多々ある。

 

外化していた自分からの決別

 

外化、という概念は私にも有効だった。私が抱えていたここ数年の仕事や人間関係などの問題は、外化で説明がつく。私は、私の願望にアジャストした形に現実を変えたいとずっと思っていた。そのための努力は惜しまなかった。しかし、それはあくまで私の狭量な視点でのことであった。私は、私の願望に適う形でしか努力しなかった。その努力はすればするほど、周囲の人達からは奇妙に見えたに違いない。私はまずこの現実を憎んでいた。憎んでいるからこそ、努力した。そして願望が実現化しないことをさらに憎んだ。

 

私に必要だったのは、憎しみでも、終わらない努力でもない。まず置かれたリアルな現実を認めることだった。まず願望と相反する現実を受け入れて、ちっぽけでアホな自分を認める必要があったのだ。

 

願望は願望として置いておこうと思う。その前にこのダメな私にいま、できることをやろうと思う。そこからもう一度始めようと思ったのだ。外化していた自分の内面から決別したいと。現実を見る。そして逃げないと。

 

 

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加藤諦三 #テレフォン人生相談 #大迫恵美子

*1:wikipediaの「加藤諦三」によると1970年代前半としかわかっていないという

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