ジコカイジ

self-disclosure‐‐‐乳がんのこと、仕事のこと、生き方のことを書いていくchisa/千祥のブログ。

さくらももこさんの続報を読んで考えた なぜ代替療法を選択してしまうのか。

 

続報によれば、初回時は標準治療を選択していたさくらももこさん。

 

さくらももこさんが亡くなってから数日が経ち、続報にいくつか目を通した。いずれも伝聞であり、真偽のほどはわからない。でも要約すると、7年前に乳がんに罹患→手術、抗がん剤などの標準治療を受ける→再発→初回治療時の抗がん剤等がキツく、再発後は代替療法を選択→逝去、という流れのようだ。

 

 

この記事だと手術はしたが抗がん剤は拒否し、バイオレゾナンスなどの代替療法をしていたという。「自宅ではパワーの集まるというピラミッド形の帽子を見せていただいたこともあります」と証言している関係者。

headlines.yahoo.co.jp

 

こちらでは再発してからは抗がん剤を使用していなかった、と書いてある。初回時には標準治療を選択したということか。

www.jprime.jp

 

死ぬのは怖い。治療も怖い。2つの恐怖が、代替療法へと走らせる。

 

初回の治療は標準治療をして、再発してからは代替療法を選択したさくらももこさんの気持ち、もし記事の内容が本当なら、私はわかるような気がする。

 

がん患者は2つの恐怖を抱えている。死ぬのは怖い。でも治療の辛さも怖いのだ。治療の辛さを一度は乗り切った。でもまた。またあの辛さと折り合いを付けながら生活するのかと思うと、暗澹たる気持ちになったと思う。再発ということは、治療が長期間に及ぶこともある。そうすれば仕事の範囲も狭めることになるかもしれない。

 

そして代替療法は一見、口当たりが優しい。辛くない治療、副作用がない治療。そしてときに、完治したなどの奇跡的な前例も散見される。そこに惹かれてしまうのだ。死への恐怖と、日常生活を損なってしまうという恐怖、この2つの恐怖を払拭してくれる口当たりの良さが、代替療法を選択させてしまうのだ。

 

さくらももこさんの場合、経済的に自由であったことも大きい。代替療法は概して高額だし、自分がコレと思った療法をいくつもすれば、経済的負担は膨らみ、継続が難しくなってしまう。しかしさくらももこさんには、それを凌駕する経済力があった。

 

みな、それぞれの信念や事情を抱えながら生きている。がんになったときも、やはり生きてきたように、治療を選択していく。

 

私も2度目は抗がん剤するかどうか2か月悩んだ。

 

17年前、初回の左乳房の乳がんのときは抗がん剤をやった。その恩恵を受けて私はその後再発もせずに過ごせたことも理解している。でも昨年6月、右乳房にまた乳がんを見つけたとき、一番悩んだのは抗がん剤をするかどうかだった。初回手術の、その低侵襲な乳房温存術の手術痕に私は満足していた。まだその医師は現役バリバリで、今回もこの先生に任せようと決めていた。だけど、抗がん剤するかどうかはまた別問題だったのだ。なぜなら、辛かったから。

 

17年前はCMFという抗がん剤だったが、今回はEC療法4サイクル、その後タキソールを週1で12回というレジメン。抗がん剤の種類も違うし、制吐剤も以前よりは進化を遂げていると聞いていた。しかしやるかどうかの返答をずるずると引き延ばしていた。

 

抗がん剤は辛い。抗がん剤投与してから1週間ほどは強い倦怠感、悪心に苦しむ。(特に今回、EC療法の辛さは、いま思い出しても身がすくむ)。そして脱毛だ。脱毛により長期間ウイッグをかぶったり、また、体重がモリモリと増加し、アピアランスの変化に悩むことになる。

 

17年前は治療が終わり、2週間後にはフルタイムで働き始めた。当時所属していた女性誌の編集部は、みんな本当に洗練された装いをしていたので、私も懸命にキャッチアップしようと努めた。でもキャッチアップしようにもできないのだ。髪の毛はいつまでも薄く、抗がん剤後、増えた体重は全く減らない。飲んでいたステロイドのせいか、顔はいつまでもムーンフェイスで、体もパンパンだ。何を着てもまるで女子プロレスラーみたいで、私はちっとも素敵じゃなかった。

 

exgirlfriend.hatenablog.com

 

だから、また抗がん剤をするのが本当に嫌だった。本当に嫌でたまらなくて、やるかやらないか、2か月間も悩みぬいた。結局やることにはしたのだが、当初はEC療法だけやって、あとはもういいや、という消極的な姿勢で始めたのだ。17年前の治療後、自分の本来の見た目、体調だと思えるようになるのに、3年くらいはかかった。その間モヤモヤした感じをいつも抱えていた。また今回もあんなに長い間、見た目も体調も、自分をだましだまししながら、モヤモヤしながら生活するのかと思うと、抗がん剤を進んでやります!とは言えなかった。

 

もちろん死にたくはない。まだ死なない。このトシなんだからもう見た目なんてどうでもいいでしょと、人は思うかもしれない。でもまだ仕事を続けていくためには、私は老け込んでいられないのだ!と本気で考えていた。いや、いる。

 

幸か不幸か、私には潤沢に治療に使える経済力はない。だから抗がん剤をしないにせよ、代替療法を選択する気も起らなかった。

 

またがんになったらどうするのか。手術できるものならする。でも低侵襲なものでなければ嫌だ。抗がん剤はどうするだろう。私はまたグズグズと悩むんだろうな。

 

 これから治療を始める人へ。

 

ひとつ反省していることがある。このブログで、抗がん剤が辛い辛いとずっと書いてきた。辛いのは本当だ。でも、それはほんの一時だ。耐えられるように設計されているし、体力も徐々に回復される。個体差があって、誰もが辛いわけでもないようだ。だから、これから抗がん剤治療をする人たちがいたら、言いたい。

 

怖がらないで大丈夫です。体調も回復しますし、わりかしこぎれいにいられるのね、と思えるようにアピアランスケアについても研究していくから、治療を頑張ってみてください、と。

 

 

 

 

 

 

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