先日NHKで彼女のインタビューを見た。元気になってみんなを力付けたい、それが私の使命と語っていた。そう思うのは、池江璃花子というスターアスリートだからではない。がんサバイバーなら誰でもそう思う、サバイバーあるあるだ。私ですらそう思った。
死への恐怖、治療の苦しみ、これまでの生活を失うことの悲しみの中にあり、そこから立ち上がるべくもがいていたとき、私も彼女と同じように、勝手に使命感に燃えていた。世界を変えたいと本気で思っていた。
いまは少し違う。使命感はなくなったわけではないが、それだけが私の人生ではない。まずは生活を立て直し、一歩ずつ進み、手応えを得る。そこから今の私にできることをする。それだけ。シンプルだ。思うようにいかないことの方が多いが、それでよしとして流されていく。
自分の望んだものは得ることはできないかもしれないが、想像しえなかったものを得たりして、結局つじつまは合うようになっていると知る。
使命感に燃えていたあのとき、私は、自分を救いたかったのだと思う。救いたくて、でも救えなくて、毎日悔しいと泣いていたけど、それすら治癒の過程であった。
池江璃花子さんはスターアスリートだから、私とはまた違うお役目が用意されているのだろう。でも、使命感を振りかざして、ジャンヌダルクみたいに生きなくてもいい。あなただけのオリジナルな幸せを見つけて欲しいし、必ず用意されている。がんサバイバー同士として、そう思います。